南大沢に越してきてから10数年、その間に、住宅展示場、そごうデパート、ダイエー、ドライブイン・シアターと次々に造られては消えていきました。最近はバージンシネマ(現東宝シネマ)やラフェット多摩が登場して、南大沢は一気に多摩地区でも人気の街になりしたが、個人的には2004年4月に多摩境と南大沢の間に都立小山内裏公園が開園したことが一番うれしい「出来事」です。開園当初は、自然を楽しむ広大な公園でしたが、パークセンターがオープンし、ボランティアの方々が参加するようになり、ソフト面でも充実し、さまざまなイベントが催されるようになりました。その中でも、食いしん坊の我が家は、11月7日(日曜日)の「そば打ち体験」に応募。1人500円で家族みんなで参加したときの体験をご紹介します。
午前10時に集合。初めて拝見した小山内裏公園の園長の挨拶に始まり、ボランティアそば打ちの先生(蕎麦屋さんではなく、趣味でそば打ちをされているそうです)が約1時間実演でそば打ちを教えてくれました。
小山内裏公園の園長さん ボランティアそば打ちの先生

そば打ちの材料はなんと公園で蒔いた蕎麦の実が実ったものととことです。貴重な南大沢のそば粉を400g(右の袋)、小麦粉200g(左の袋)をこね鉢(大きなボール)にいれ、正確に計った288Cの水を9分目ほど一気にいれます。詳細は左下の「そば打ちの手順拡大写真」をご覧ください。

南大沢で収穫した貴重なそば粉 蕎麦打ちの手順
次にそば粉と小麦粉を混ぜますが、ここがとても重要で、最初の混ぜ方が完成品のこしや粘りにとても影響します。私も以前そば打ち体験をしていたので、最初の混ぜるときに煉るものと思っていましたが、一番最初は指を立ててすばやくこね鉢の中をまわして、粉を「おから状」に融合させていくのでした。決して煉るのではなく、粉が自らくっ付くように、立てた指でかき混ぜながら、小さな玉状になったそば粉を徐々に大きな玉にまとめていくのです。
約10分ほどかき混ぜていると、自然に大きな玉に集約していきます。ここで一旦手を水洗いして、手に付いた粉を綺麗に落とします。次に初めて手のひらを使いながら、あまり力を入れずに捏ねていきます。捏ねると言うよりむしろそば粉に混じっている空気を出していく要領で、力を入れすぎないのがコツのようです。この煉り方を煉ったそば粉の塊が菊のような形に見えることから「菊ねり」と呼ばれるそうです。
粉を「おから状」に融合させる
5分以上は捏ねたでしょうか、綺麗な丸い塊になりました。先生の注意事項としては、強くたたいたり、捏ねたりしない点で、そば粉が自らの力で融合して塊になるように煉っていくことです。次に塊をこね鉢から出して、大きなのし板の上に載せ、短い方の麺棒で伸ばしていきます。打ち粉を最初にまぶして、滑りよくする点とそば粉が乾燥しないようにします。最初の伸ばしは「丸出し」といって、丸くやや厚めに伸ばしていきます。
丸くなった蕎麦の生地 蕎麦生地の丸出し
そこそこ丸出しが大きくなってきたら、短い麺棒を長い麺棒に変えて四角に伸ばして行きます。これを「角出し」と呼ぶようで、麺棒に生地を巻き取りながら伸ばしていきます。なかなか面白い作業で、麺棒に巻き取り伸ばしながら、麺棒を巻く角度を変えながら伸ばしていきました(90度づつ4回変えます)。ここでも、先生の注意事項は力を入れて伸ばすのではなく、生地の無理なく伸ばしていく点でした。
最後にみんなに完成した生地を触らせてもらいましたが、出来上がった生地はひび割れもなく、弾力もあり、しかいい香りでした。
蕎麦生地の角出し 完成した生地を触って確認
麺棒で生地を巻いて伸ばす
確かのし板に載せた生地を合計6つくらいにを折ってそば切りの準備をしました。大きく重い専用のそば包丁と生地を均等に切るためのコマ板を利用して、上から下へ押す要領で切っていきます。後でわかったのですが、切った蕎麦は細く見えても茹でると結構な太きなるので、ここでは気持ち細めに切ったほうが良かった点です。切った蕎麦を集めて、その上に打ち粉をまぶして乾燥を避けます。全部切ったところで、とりあえず茹でるまではラップに包んで完成です。
コマ板を利用して、上から下へ押す要領で切る 専用のそば包丁と生地を均等に切る
1時間ほどの講義の後は面々が自分のテーブルでそば打ちを始めます。さて、我が家の方ですが、先生の教えの記憶をたどりながら、見よう見まねで、妻と娘が競うように進めていきました。そこへたまに下の息子が邪魔にはいり、にわかにそば打ちに参加するため、なかなか前に進みませんでした。しかし、途中何回も先生に聞きながら、丁寧に作っていきましたので、生地はひび割れもなく比較的綺麗に伸びました。
我が家のそば打ちスタート 短い麺棒を長い麺棒に変えて四角に伸ばして行きました
我が家は周りのチームがそば切りに入っても、まだ「角出し」と生地の厚みを揃える「肉わけ」の段階です。「肉わけ」は、生地の厚い箇所を短い麺棒を両手を中心から外側にスライドさせることで前に押し出し、力を入れずに厚みの丁寧に延ばす作業です。結構コツを要する方法で、その「わけ方」が上手いと娘は褒められて喜んでいました。
褒め言葉が効いたのか、そば切りも自ら進んで始めました。しかしここで細く切ったと思った麺は、茹でると思ったより太かったことが後ほど判明しましたが・・・・。
「肉わけ」が上手と褒められた長女 細く切ったと思った麺は、茹でると思ったより太かった
切った蕎麦は「体験教室」のあるパークセンター外のBBQ広場で茹でる段取りでしたが、2つの大きな釜はなかなか沸騰せず、何組の家族が釜の前で茹でる順番を待っていました。10時から始まった教室も全員がそば切りが終わるまでに3時間ほど経過しており、すでに午後1時近くでした。お腹がペコペコであった我が家は茹でる順番を待ちきれず、家が近いこともあり早々に持ち帰りに切り替えました。幸い先生お手製の美味しいそばつゆもお裾分けしてもらい、家に帰ってすぐに食べにかかりました。もちろん味は最高でした。粘りもコシもあり、果たして娘が作ったそばかなと信じられない出来でした。しかしほとんどは蕎麦先生の的確な指導のお陰で、その通りに作っただけでしたが・・・・
パークセンター外のBBQ広場の釜 茹でる順番待ちは長かった